制度と現場のズレ③ 補助金という幻想――制度を活かす会社、制度に頼る会社

制度と現場のズレ

補助金や助成金は、事業者を支援するための制度です。

設備投資、人材育成、省力化、DX。
国や自治体は、企業の成長を後押しするため、さまざまな制度を整えています。

しかし、仕事柄、多くの経営者や技術者の方と話をする中で、ときどき小さな違和感を覚えることがあります。

「そうなのだろうか。」

補助金を活用することが、本当に会社を強くすることにつながっているのだろうか。そんな小さな疑問です。

その違和感が残ると、現場を見たり、人の話を聞いたり、自分の経験を振り返ったりしながら、制度と現場のことをもっと知りたくなります。

このシリーズも、そんな探究の過程から生まれています。

制度は会社を成長させるものではありません。

会社を成長させるのは、現場で働く人の判断であり、経営者の決断であり、品質への責任であり、顧客からの信頼です。

補助金は、それらを後押しする手段の一つです。

ところが制度が充実するほど、

「補助金があるから導入する。」

「今年は何か申請できないか。」

という発想が先に立つことがあります。

本来であれば、「会社に必要だから投資する。」そして、その投資を支える制度があれば活用する。

その順番であるべきではないでしょうか。

建設現場では、計画どおりに工事を進めることよりも、安全を優先して判断する場面があります。

  • 天候
  • 地盤
  • 作業員の体調

現場は、その日の状況に応じて柔軟に判断しています。

経営も同じように、制度に会社を合わせるのではなく、会社の目的に制度を活かすという視点が大切なのだと思います。そして、その判断は経営者だけで決めるものでも、現場だけで決めるものでもないでしょう。

  • 補助金を活用するか。
  • どのように活用するか。
  • その目的は何か。

日頃から経営層と現場が対話を重ね、お互いの考えを行き来させることで、制度は初めて会社の力になります。私は、この関係を「縦糸」と「横糸」のように考えています。

縦糸は、経営理念や制度、法令、責任の流れ。

横糸は、現場同士の連携や部門間の情報共有、一人ひとりの経験や気づきです。

どちらか一方だけでは、丈夫な布は織ることができません。縦糸と横糸が調和し、社会の変化に合わせて柔軟に織り直していくこと。それが、変化の時代を生きる組織に必要な力ではないかと感じています。

​

記事をお読みいただきありがとうございます。ご意見やご感想など、ございましたらお気軽にお問い合わせください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました